~マリアモンテッソーリ~
「教育において必要なことは、何よりも教育の対象である子供たちのことをよく知ること。」
「大人のほとんどが、子どもには自然の法則で、みずから成長発達するプログラムと力が備わっていることを知らず、大人の考えで教育しようとし、結果としてその正常な発達を阻害していることを認識しなければなりません」
このページでは私の過去の教訓を踏まて、これから先生を目指す方のために書き進めていきます。
上記のマリアモンテッソーリの言葉。
大学を卒業してすぐの、私に教えてあげたかった・・・と今思います。
私は、高校大学は音楽専科の学校で声楽を専攻し、音楽の勉強をしてきました。
卒業後は幼稚園の音楽専任の教諭として、就職したはずだったんです。。。。。
ここからがターニングポイントだった、という自分史にちょっとお付き合いください。
幼稚園の音楽専任として勤務することを楽しみにしていた私に、一本の電話が入ります。
就職先の幼稚園からです。
「先生、音楽専任の先生が退職されませんので、クラス担任をしてください」
まだまだ卒業したてで、若かった私は(笑)
「はい、わかりました」
と返事をするしかなく。
保育の勉強なんて全くしてないのに(中学教諭の免許はもっていました)、ただ子供は好きというだけで、なんと新任で年中クラス33名の担任に!(しかも、補助教諭なしのひとり担任)
壁面って何?という状態の私が、クラス担任。
今思うと、本当恐ろしい・・・ありえない・・・。
その当時は、毎日毎日が必死でした。
毎月行事がある設定保育の園で、子供たちが降園後にする仕事が山のようにあります。
家に帰るのは毎日10時すぎ、それから持ち帰りの仕事。
先輩の先生がたからも、叱咤激励の毎日でした。
頑張りすぎて、倒れたことも2度ほど(笑)
私、音楽を教えるために来たはずだったのに・・・・・と思うこともしばしばありました。
しかし時を重ねるごとにクラス担任の仕事は、とても尊いやりがいのある仕事だと感じるようになっていました。
ただその当時の私は、毎日の保育をこなすことで精いっぱいでモンテッソーリのこの言葉を知る余裕さえもなかったのです。
~マリアモンテッソーリ~
「教育において必要なことは、何よりも教育の対象である子供たちのことをよく知ること。」
「大人のほとんどが、子どもには自然の法則で、みずから成長発達するプログラムと力が備わっていることを知らず、大人の考えで教育しようとし、結果としてその正常な発達を阻害していることを認識しなければなりません」
毎日の保育をこなすことで、精いっぱいだった頃私がどんな風に子供たちと接していたか。
まさしく、モンテッソーリのこの言葉大人の考えで教育しようとしていたのです。
行事があるたびに、仕上がりに完璧を目指し厳しい指導をし、子供たちの心を見つめていなかったり、自分の指導の至らなさなのに「どうしてできないの?」と考える私がいました。
子どもの気持ちを受け止めるどころか、私の気持ちを押し付けていたような感じです。
何も知らず担任という大変な責任の中、がむしゃらに頑張ってはいましたが、今の私があの頃に戻れたら、もっともっと子供たちと良い関係で毎日を過ごせたのではないかと、いつも考えるのです。
3年間幼稚園教諭として勤務しましたが、大人の考えで教育しようとするという考えが、私の中でまだまだ当たりまえでした。
そんなわたしの考えが、幼稚園を退職して2年後ガラッと変わる出来事を経験します。
そしてそのきっかけを与えてくれたのが、幼稚園教諭時代の同期で、一年目の保育について何も知らない私と一緒に頑張ってくれた、隣のクラスの☆先生。
☆先生、この5年後に私がリトミック教室を始めるきっかけも、作ってくれたという先生で、彼女との出逢いがなければ、リトミック教室もできていなかったかも・・・
という、私の中では大きな存在です。
そんな☆先生がくれたきっかけと、自分の考えが変わった出来事がありました。
ある日のことです。
☆先生が、
「先生、この先長く保育の仕事にたずさわりたかったら、今のままではダメ」
「保育士の国家資格取得試験をうけたら?」
と、夜中まで事務作業をしていた時にさらっと一言。
え~保育科でてなくても、保育士の資格がとれる?!
そのことを知らなかった当時の私は、この話しから保育士資格取得を目指しました(この頃にリトミック研究センターの月例を受講したいとも思っていましたが、先に保育士資格取得を目指しました)。
もともと勉強は嫌いでなかった私は(笑)、独学で必ず1年で合格する!と目標設定し、幼稚園を退職。
頑張って勉強しましたが、教育原理の一科目が不合格。
あ~あと一科目だったのにと残念な結果に(教育原理は大学で勉強してたので、全く勉強せず受けたという、怠慢さで、当たり前の結果)。
当時は年に1回の試験だったので、翌年無事に保育士資格を取得。
すぐに公立保育所に勤務させて頂くことになりました。
この公立保育所の先生方、ほとんどの先生が保育士歴20年以上のベテラン保育士。
ここで幼稚園の教育ではなく、保育をするということを先生方から学びます。
公立保育所なので、モンテッソーリ園ではなかったのですが、先生方は愛情を持って、子どもたちの気持ちを受け入れながら、素晴らしい保育をされていました。
自分の母親と同じ年代の先生方は、未熟な私にも暖かく接してくれました。
私は先生方の、子どもたちへの接し方を目の当たりにし、自分を反省し、勉強する日々が続きます。
そんな日々の中、
「私も全ての子どもたちの気持ちを受け入れ、導いてあげることのできる先生になる!」
と心を打たれた出来事がおこります。
長崎第一支局の一期生の先生方に、ずいぶん前にお話ししたことなんですが、、、
今でも、私の心の中に大きく残っていること、保育所でのある一日の出来事です。
Aちゃん(年長さん)が、砂場でお友達にスコップで砂をかけたり、叩こうとしたり、トラブルが絶えない日がありました。
Aちゃんには荒れている理由がありました。
妹が入院して、お母さんが病院に付きっ切りでさみしかたのです。
その時、保育所の先生がたがAちゃんにとった対応は、叱りつけるのではなく、Aちゃんの妹さんと同じ年の、「2歳児クラスさんに今日は一日お手伝いをお願いしていい?」という声かけでした。
そして、
「Aちゃんの好きなお友達も一人だけ、誘っていいよ」
と。
その日一日、Aちゃんとお友達は年長クラスにはいかずに、ずっと2歳児クラスさんのお手伝いをしていました。
もちろん2歳児クラスの担当の先生方も、瞬時にそのことに対応し、保育所全体でAちゃんを見守っていました。
お友達とトラブルを起こしたAちゃんを責めることなく、年下のお友達のお世話をすることで、Aちゃんの気持ちが変わっていきました。
次の日も、先生方はAちゃんに同じ働きかけをしていました。
そのうちにAちゃんがすっかり落ち着きを取り戻し、自分から「今日から自分のクラスに戻る」と年長クラスにもどっていきました。
幼稚園教諭時代の私だったら、今、目の前で起こったトラブルだけにしか目がいかず、きっと厳しく叱っていただろう。
その考えが頭をめぐり、幼稚園教諭時代の自分を猛省したんです。
そして、Aちゃん一人だけお手伝いをお願いせず、好きなお友達と一緒にお手伝いをするという配慮が、心に残って離れませんでした。
こどものすべてを受け入れ子供の気持ち寄り添うことを、私は保育所の先生方から言葉ではなく、背中をみて学びました。
保育所の先生方から学んだことが、少しずつリトミック研究センターで学び、リトミック指導をすることで、モンテッソーリ教育の理念と結びついていくのです。
このエピソードから学んだことは、20年たった今でも忘れずに心にいつも置いています。
沢山のことを学んだ保育所を退職し、結婚し東京へ。
リトミックを学びなおしたいと、東京のリトミック研究センター教員養成校に通い、現在があります。
養成校時代も保育士をしながら、武蔵野音大の教授のもと声楽の勉強を続け、リトミックの勉強をがんばりました。
そこでモンテッソーリ教育と、リトミック研究センターの素晴らしい先生がたのとの出逢いがありました(この話はまた長ーくなりますので、省略します)。
私がリトミック教室を長崎で始めたときは、リトミック自体が知られていない中、リトミックを知ってもらうことが最優先でした。
子供たちとレッスンをする中で、指導書どおりにレッスンをしても、私が(大人が)思うように、子供たちは動いてはくれない。ということが多々ありました。
しかし、保育の現場で、卓上の勉強でなく、実際に子供たち・先生方から学び、自分自身の中で消化してきたことが、とても役にたったのです。
何よりも教育の対象である子供たちのことをよく知ること。
大人の考えで教育しようとし、結果としてその正常な発達を阻害していることを認識しなければなりません。
勉強を続けている今だからこそ、昔、何も知らずに幼稚園に飛び込んだ私に、今の私が伝えたいという思いと、昔の私のように保育で悩んでいる先生方かいらしたら、少しでも何かのきっかけになればと、リトミック指導法の合間に、私は子供たちへの配慮について沢山お伝えしています。
月例研修会を受講して下さった先生から、頂いたメッセージ。
(今も大切にしています)
子どもたちへのリトミック指導が思うようにできない時、こどもの「運動機能の発達。脳の発達について知ること」が必要です。
「敏感期」「子どもの時間軸を知る」と、今の子供たちに適切な言葉がけが、出来てきます。
子どもの力を信じ、見守っていくこと。
それには、モンテッソーリ教育理念の「自由と規律」を知ると、もっと子供の気持ちに寄り添えるようになります。
まだまだ多くのことがありますが。。。
教育において必要なことは、何よりも教育の対象である子供たちのことをよく知ること
を中心に、リトミック指導法に沿いながら、保育にも、子育てにも生かせる内容を、月例研修会ではお伝えしていきたいといつも思っています。
長崎第一支局では、毎年5月より月例研修会が始まります。
月例研修会に先立ちまして、どなたでも受講できる春季・夏季特別講習会も行われてます。
詳しくはリトミック研究センター長崎第一支局までお問合せください。